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――ファンタズマゴリア――     走馬灯のように 次々と移ろいゆく 幻想の中で
プロフィール
管理人:波華
観劇好き。主に狂言、歌舞伎、日本舞踊、大衆演劇、落語などをよく観ます。大蔵流茂山千五郎家、尾上菊之助さん、中村勘九郎さん、尾上菊之丞さん、橘菊太郎劇団、劇団花吹雪、などがお気に入り。
現代演劇で最大のお気に入りは花組芝居。その他、大中小気になった劇団を観に行きます。
日本舞踊のお稽古をしています。
たまに着物や歌やゲーム(DQ,FF)の話題も。
連絡先 e_yassie@yahoo.co.jp
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ドリアン・グレイの肖像 8/27
2009年08月28日(金) 14:30:19
世田谷パブリックシアター
3階A列

加納さんご出演だったのと、あと山本耕史さんの舞台を見てみたかったので。

[作] オスカー・ワイルド
[構成・演出] 鈴木勝秀
[出演] 山本耕史/須藤温子/伊達暁/米村亮太朗/三上市朗/加納幸和

拍手[0回]


物語は、19世紀末のロンドンが舞台。若き美貌と純真無垢な精神を兼ね備えた青年貴族ドリアン・グレイ。彼の魅力に惹きつけられた友人で画家のバジルは、グレイの美しい姿を全身全霊の思いで、肖像画として残した。そこで初めて自らの美を認識したグレイは、自分の美の衰えを恐れる。
グレイは、バジルの親友・ヘンリー卿と親しくなり、悪事を重ね、快楽に溺れていく。何年たっても、彼は老けずに美しいままである。そのかわり、彼が年齢や悪徳を重ねると、バジルの描いたドリアンの肖像画が、その分だけ醜くなっていく。恐れたグレイは肖像を抹殺しようと絵にナイフを突き刺した。駆けつけた人々が見たのは、若く美しいグレイの肖像と、その前に倒れた、老いた醜い容貌の男(グレイ)であった。


あらすじを読んだ印象だと、ドリアンは魔性の美貌で人々を翻弄して、悪人のまま死んでいくのかと思ってました。逆にヘンリーはそんなドリアンに何かと翻弄されるのではと思っていました。
実際にはだいぶ印象が違いました。

ほぼ笑いどころのない、全体的に重めのお芝居なので、個人的には苦手なのだけど、アフタートークもあったおかげでいろいろな謎解きができて、それがすごく興味深くて楽しかったです。

音楽がピアノの生演奏。役者の演技とのアンサンブルが良かったです。

ドリアンはなぜ悪事を重ねるようになったのか…。ヘンリー卿からの悪影響のせいと簡単に考えることもできるけど、加納ヘンリーは積極的に悪事に導こうとしてはいなかったし、簡単にそうは言えないと思う。加納さんがアフタートークで言っていたけど、ヘンリーが言っていることは全部本当のこと。世の中の真理。ドリアンがそれをどうとらえてどう行動するかなので、ヘンリーの言ったことはきっかけにすぎないんだよねぇ。
ドリアンの美貌も原因の一つではないかと。人々にその美貌をもてはやされると、無意識に心に悪が住み着くことがあるんじゃないかと。自惚れ、自意識過剰、他人への蔑み、などなど。自分に惹かれて邪心を持つ人間が寄ってくることも多いだろうし(アレンとの快楽の夜はまさにそれ?)
長い煙管のようなもので煙を吸っていたのは、あれはアヘンか何かなのかな。ここまで来ると、精神的に弱って逃げてる状態だよねぇ。

それに引き換え、ヘンリー卿は達観してるなぁという印象。自分の発言で、ドリアンがどう考えどう行動するのか、傍から見て楽しんでいるよう。どんなことが起こっても、心の底からうろたえることがない。
最後にドリアンが死んだときも、面白いことが1つ終わっちゃったとしか思ってないのかも。楽しいおもちゃが壊れちゃってつまんない、って。あの切り捨て方がすごい。かっこいい、って思った。シビれたなー。

ドリアンがわざわざヘンリー卿に「善人になる」と宣言しに来たのは、ドリアン自身はヘンリー卿の影響で悪人になったと思っているからかな。昔ヘンリー卿にもらった指輪をわざわざ返しているし。
返された指輪を、ヘンリーがまたドリアンの死体にわざわざ握らせたのはどんな意図だろう。ここは謎のままだなー。
ここでヘンリーはドリアンの手を組ませるのかと思ったら、そうせずにすっくと立ち上がってその場を去ってしまい、びっくり。スタスタと、軽快とも言えるくらいのスピードで。このときのピアノ音楽も加納さんの演技にぴったり合ったものでした。


最後、アフタートーク。
ドリアンは銀髪だったんですけど、それを耕史さんが「見た目はファイナルファンタジーみたいだけど」って言ってたのがウケたよ~!FFかいっ。それはセフィロスあたりを指してる?確かに、あの銀髪と長身と貴族スーツでちょっと太一くんを思い出しちゃったけどさ。
加納さんは、髭は自前でもみあげは付けてるそうですね。席が遠くて実はあんまりよくわかりませんでした…。

人物像はいろいろな解釈があるけれど、耕史さんはドリアンを人間らしく描きたかったそうで、悪事に手を染めた自分に苦悩する姿を見せたかったそうです。なるほど、だからああいうドリアンになったんですねぇ。

加納さんのヘンリー卿は、やっぱり加納さん自身に近いのかな…。どことなく冷めているよう。稽古で試行錯誤している時に、ドリアンが「善人になる」宣言をして泣いたのを見て、急に興味が失せるような感覚があったらしくて、そういうさっぱりした怜悧さは加納さんの他の役にも一部共通しているように思えます。


うーん。加納さんはやっぱり素敵だな、と思う公演でした。
あのヘンリー卿の人物像、好みでした。
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