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――ファンタズマゴリア――     走馬灯のように 次々と移ろいゆく 幻想の中で
プロフィール
管理人:波華
観劇好き。主に狂言、歌舞伎、日本舞踊、大衆演劇、落語などをよく観ます。大蔵流茂山千五郎家、尾上菊之助さん、中村勘九郎さん、尾上菊之丞さん、橘菊太郎劇団、劇団花吹雪、などがお気に入り。
現代演劇で最大のお気に入りは花組芝居。その他、大中小気になった劇団を観に行きます。
日本舞踊のお稽古をしています。
たまに着物や歌やゲーム(DQ,FF)の話題も。
連絡先 e_yassie@yahoo.co.jp
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八月大歌舞伎を観ました。
2004年08月14日(土) 23:26:09
今日は八月大歌舞伎の第一部を観に行きました。
今回は3階A席。こんなにいい席で見たのは今回が初めてです(^^)
出演者がお馴染みの役者ぞろいなので、見ていてとても楽しめました♪

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元禄忠臣蔵
徳川綱豊卿   染五郎
富森助右衛門  勘太郎
中臈お喜世   七之助
吉良上野介   幸右衛門
上臈浦尾    歌 江
津久井九太夫  錦 吾
御祐筆江島   孝太郎
新井勘解由   橋之助

染五郎さんは、実に1年2ヶ月ぶりの歌舞伎の舞台だそうです。
そんなに長い間、歌舞伎の舞台から離れていたの!?とびっくり。確かに、プライドとかアマデウスとか歌舞伎以外の活動が多かったからねぇ。
1年2ヶ月前と言うと、私が初・歌舞伎を体験した、去年の六月大歌舞伎(私が観たのは「棒しばり」の次郎冠者)じゃないですか!
ちょっと不思議な縁を感じてしまいました。

「染五郎以下みな揃って初役という、フレッシュな顔ぶれ」に私も期待していました。特に、勘太郎・七之助兄弟ですね。
七之助さんは、本当に可愛らしい女方でした。立ち居振る舞いが上品で、声も若い女性らしい愛らしい声で、とても素敵でした。
勘太郎さんは、赤穂浪士の一人で、頑固で無骨だけど、仇討ちを心に秘めた熱い男でした。染五郎さん扮する綱豊(将軍綱吉の甥)と、激しい言い合いをする一触即発の緊迫する場面で、長台詞で熱演していました。
カッコイイーー!凛々しいーー!素晴らしく熱い演技でした!
染五郎さんは、ちょっと台詞でつまづいたところが2箇所ほどあったかな…心臓に悪いので勘弁してください~。

当たり前かもしれませんが、やはり皆さん、現代劇やドラマや日常の姿で発せられる声と歌舞伎を演じるときの声は全然違いますね。
歌舞伎のときの声のほうがずっと低く、腹に力が入っている響きがします。


蜘蛛の拍子舞
妻菊 実は 葛城山女郎蜘蛛の精 福助
源頼光   三津五郎
渡辺綱   弥十郎
ト部季武  高麗蔵
碓井貞光  橋之助
坂田金時  勘九郎

能の「土蜘蛛」に題材を取っている、ということでいいんでしょうか?
頼光は病床にあるわけではないし、後の場で蜘蛛の住処まで退治をしに行ったりはせず、場面は常に頼光の屋敷のままですが。
私は、舞踊歌舞伎だということと、能の「土蜘蛛」との相違点とを楽しみに観ていました。
面白かったのは、最初に屋敷に蜘蛛が現れるところ!人間ほどの大きさもある蜘蛛の作り物が天井から降りてきたのにまずびっくり。それを、黒子さんが一生懸命動かして演技するんですよ~!
蜘蛛が見得(らしきもの?)を切っているように見せていたのが面白くて!そーゆーふうに動かしている黒子さんがすごいと思う~。

その後の場面で、若い娘姿で現れた福助さん演じる妻菊(実は蜘蛛の精)の美しい舞姿は素敵でしたね~さすが福助さん!
三津五郎さん、橋之助さんとの3人の相舞いも綺麗で、さすがカッコイイ!って思いました。
途中で蜘蛛の本性を表した妻菊が投げた蜘蛛の糸は、たぶん能で使うものと同じでしょうねぇ。千筋の糸が綺麗に広がってました。面白かったのは、空に散った糸の根元を福助さんが後見に投げて、後見は必死に糸を巻き取って回収していたところですね!能のように出演者に降りかかるままに放っておくわけじゃないんですね。その後も立ち回りが続くから邪魔になるってことかなぁ。
動き回る演者に寄って隙を見てサッと衣装に引っかかった糸を取る後見さんについつい目が行ってしまって、肝心の舞踊を観ていなかった、なんてことが時々起きていました(><)

後シテの場面(歌舞伎でもこう言うのか分からないけど)では、福助さんの化粧が変わり鬘が変わり、衣装は舞台上で早変わりしました。そして鬼女が良く持つ緋色の棒(これ何なんですか?よく目にしますけど)を武器に、頼光はじめ家来たちとの立ち回り。
途中、勘九郎さんが「福助という男に良く似た顔の化け物~」と言ったり、橋之助さんが「兄に良く似た蜘蛛の化け物」と言ったりと、ちょっとしたお遊びもありました。
ってか、福助さんと橋之助さんて兄弟だったの!?今まで知らなかった…
かぶき手帖持ってるのになぁ。やっぱり歌舞伎役者の血縁関係には謎が多い。

最終的にはこの戦いの決着はつかないんですね。「歌舞伎の吉例」という台詞があったけど、このことかしら?
後半は蜘蛛の糸の大放出。後見さんもたくさん投げていました。この辺は能でも同じですね~。
皆で並んで見得を切ったまま、幕が閉じました。

なるほどねー。能の「土蜘蛛」といろいろ比較が出来て楽しかったです。
やっぱりあの糸は綺麗だし、見ごたえのある演目だよなぁ。
能の「土蜘蛛」を見たことのある人はぜひ歌舞伎でも観てみてください。


今月の歌舞伎はこれで終わりかな…
本当は「東海道四谷怪談」も観たいんだけど、人気が高い上にチケットを持っていないので幕見で立ち観になる可能性が高そうだし、第一もう行ける日がない。うーん、やっぱり無理だろうなぁ。
でも勘九郎さんの得意な演目だしいつかは観たいなー!だとしたら、勘三郎になってからいつかやってくれたときに観に行くことになるかな?
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