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――ファンタズマゴリア――     走馬灯のように 次々と移ろいゆく 幻想の中で
プロフィール
管理人:波華
観劇好き。主に狂言、歌舞伎、日本舞踊、大衆演劇、落語などをよく観ます。大蔵流茂山千五郎家、尾上菊之助さん、中村勘九郎さん、尾上菊之丞さん、橘菊太郎劇団、劇団花吹雪、などがお気に入り。
現代演劇で最大のお気に入りは花組芝居。その他、大中小気になった劇団を観に行きます。
日本舞踊のお稽古をしています。
たまに着物や歌やゲーム(DQ,FF)の話題も。
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二人道成寺が二人である理由って?
2006年02月12日(日) 00:17:35
今日は一日東銀座。
昼は新橋演舞場で「ヨイショの神様」を観て、その後歌舞伎座の夜の部へ。
ヨイショのことはあとで書く予定。

メインディッシュは、やっぱり二人道成寺。
ものすごく楽しませてもらいました!そしていろいろ考えました。
二月興行情報

拍手[0回]


「梶原平三誉石切」
ちょっと退屈してしまいましたm(_ _)m
単に私の好みの問題です…。
楽しんだのは、愛之助さんと松也くんと薪車さんかな。
愛之助さんは、俣野五郎景久という意地悪で嫌味な感じの赤っ面の武士。敵役で見たのは初めてですが、迫力もあるし声も腹が据わっていて良い感じ。かっこいいわぁ~。若手の実力派だと実感。もっといろんな役のらぶりんを観たいと思わせられました。
松也くんと薪車さんは並び大名のうちの2人で、台詞もほんの一言しかなかったけれど、美形なのでついつい目が。薪車さんはたまたま楽屋口付近で見かけたときに、普通の今時の若者らしくて結構イケメンだったので吃驚したんです。今後も注目。


「京鹿子娘二人道成寺」
ものすごく華やかで豪華で、完全ノックアウトされました…。
同じ格好をした美しい女2人が並んでいるだけで、その図の不思議さと美しさによって、うっとりと引き込まれました。
玉三郎さんの舞踊ならば、きっと傳傳兄弟も居るはず。ほら、やっぱりいた!

二人道成寺、ってどういう風に二人で踊るのか興味しんしんでした。二人道成寺が出来た初演時や、2年前の同配役の時とどう違うのかは分からないのですが、今回の演出は何とも不思議な感じがして私は気に入りました。解説求むな部分もあるので、今後調査ですな。

最初は、菊ちゃんが1人で花道から登場。黒地の振袖。七三で踊る途中に、ドロドロとすっぽんから同じ格好の玉さま登場。そして二人で相舞。
玉さまがすっぽんから引っ込んだ後、菊ちゃん1人で寺の門へ。
玉さまがすっぽんから登退場し、しかも寺を訪問したのが菊ちゃん1人ということは、実体は菊ちゃん1人でもう1人の玉さまは人間じゃないか、あるいは幻の存在ということなのでしょうか?この疑問は後々まで引きずりました。

所化の舞の話の後、赤振袖の菊ちゃんと玉さまが登場。
(舞々尽くしの話、少し短かったような?)
菊ちゃんと玉さまの烏帽子の舞なんですが、よくある相舞は左右対称のことが多いと思いますが、ここでの舞は左右対称のところもあったけれど大部分が左右同型だったような気がします。
この左右同型ってのが何とも不思議な印象を与えるんですよね。まるで、1人の女に寄り添うもう1人の女の影、あるいは幻影、魂魄のような。左右対称よりもずっと、鏡に映したように同じものという印象を受けます。
ますます、実体は1人であって2人に見えるのは只の幻想という気がしてきます。
ここでは二人が謡っていました。詞章を少しずらして順番に。エコーのよう。

後見が出てきてハッと思い出しました。引抜があるのを忘れていた…。
同じ衣装の二人同時の引抜だなんて、贅沢な趣向。
二人が前後に立って、前の菊ちゃんが座って、後ろの玉さまが立って魅せるという演出。
綺麗だな~可愛いな~。
手鞠の踊りでものすごい高速で茸歩き(←これは狂言的な言い方か。しゃがみ歩きのことです)をしていたのは菊ちゃんのほうかな?これは凄かった。体力勝負ですな。
この手鞠の踊りの2人の距離がかなり近かったんですよね。この辺りから私は変な想いに捕われ始めました。「仲は丸山 ただ丸かれと」という詞章の部分は自分の体の前に丸を描く振りなんですが、菊ちゃんと玉さまは、何と肩を寄せ合って2人で片手づつ出して2人で丸を描くではないですか。しかもその後2人見合ってにっこり微笑み合う。
なんか、レズっぽい、と思った私は頭がおかしいでしょうか。
その前の詞章が「共にこの身を馴染み重ねて」だし…。って深く考えすぎ?

その次の振出し笠の踊りは菊ちゃん1人。
その後所化の花笠の踊りが続くはずなんですが、省略されてる様子。
そして恒例の手拭撒き。

次は手拭のクドキ。
初めは玉さまだけでした。熟練の見せ場を作ったのかな?
手拭を肩に掛けたところで、同じ格好の菊ちゃんも登場。これはかなり嬉しかった。
1人がもう1人の手を引いたり(どっちがどっちか忘れた)、向かい合って胸元に手を伸ばしてもう一方がイヤイヤをしたり、何やってんのこの2人…?とギモンでたまらず。なんだかとてもやらしく見えて1人ドキドキしてたんですけど、やっぱりおかしいですか?

それから、鞨鼓の踊り、振鼓の踊りへ。どちらも最初から菊ちゃんと玉さま2人で。やはり左右同型の振りが多いです。かなり動きの大きい激しい踊りなのに、もの凄く接近していて危なくないのかなぁって思いました。あえて距離を縮めようとしているようにも見える。やっぱり二人は元々同一のものと解釈するのがいいのかなぁ。

最後は、鐘の上へ。1人に戻るのかと思いきや、2人とも鐘の上に。
そりゃ、最後のバッタリに2人とも居ないと興行的に文句が出るわな。
そういえば、鱗模様がない!普通の娘道成寺は、最後に着物を肌脱ぎして襦袢の鱗模様を見せるのに、肌脱ぎせずにバッタリだったのです。その演出はありなんでしょうか?蛇の本性を見せずに終わるとは。なんだか、納得が行かないな。

んで、通して一番気になったのは、二人道成寺の「二人」をどういう趣向で捉えるべきかということ。
吉之助さんの歌舞伎素人講釈というサイトを少し参考にさせていただいたのですが、元は1人の娘道成寺を2人でどう踊って魅せるかは出演者によって全然違うみたいですね。玉三郎さんと菊之助さんは先輩・後輩の関係ですからそれなりの役割分担があったと思うんですがあまり良く分かりませんでした。
2年前の玉菊の二人道成寺と、今回はどう演出が違うんでしょう。吉之助さんが仰るには2年前は2人が全く違う振付だったとのことですが、ということは今回はそれとは変わって同じ振付で魅せていると思って良いんでしょうか。
そしてスッポンの登退場、左右同型の振りを二人が実と虚であり元は同一の存在と思わせるための演出と思って良いのか。
このへんもうちょっと詳しく教えてくれない?誰か!

それから、今回3階Bとかなり遠めで、オペラグラスなしで観ていたのですが、菊ちゃんと玉さまがどっちがどっちか分からなくなることが多かった。二人の舞踊に大差を感じなかったということかな?これって菊ちゃんが凄く頑張ってるってことだよね、きっと。

これはまた幕観へ行かねば!

「人情噺小判一両」
救いの無い話だね、こりゃまた。
幕切れがあれでは後味が悪くなるよ…。
「武士は喰わねど高楊枝」といいますけど、笊売りに施しを受けるような身に成り下がったことが、侍にとってはそんなに情けないことなのでしょうか。侍の誇りについては良く分かりませんが…。でも、安七に「裸になれば武士も笊売りも一緒」と説得されて申三郎が納得したように、小森孫市にも時間をかけて説得すればあのような結果にならなかったのかもしれないのにね。全ては遅すぎた、と。
決して、侍の誇りの高さを空しいものと思わせるのがテーマじゃなくて、時に善意が相手に伝わらず皮肉な結果になることもあるということがテーマなんですよね。

ほっとくと暗くなる話を明るく引き立てていた菊五郎さんは流石です。随所でささやかな笑いを取っていました。お茶目で素敵な人です。
きっちーは台詞が怪しい…
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コメント
感想面白く読みました。
一度観ただけでこれだけ言及出来るなんて素晴らしい!
私も何も考えずに観ているワケではないのですが、その美しさにウットリとなって、観終わるころには何も言葉は残らないボーっとした状態になってしまうのですよね。。

最後、鱗の衣装にならなかったり、舞つくしが短め(だと思います、私も)だったりは、乱拍子が長くなった分の時間調整かな?と予想。花の姿の乱れ髪…あたりから、玉さんの表情がスゴイことになってますから、衣装を変える必要はないのではないかと思います。対して菊ちゃんは無表情っぽく、玉三郎蛇体花子に引っ張られている感じ。
鐘の上で二人でキマるのは、実体が乗っ取られたとも読めるし、興行的な意味もある(^^;だろうし。

前回との演出の違いですが、私がわかる範囲では「謡がついたこと」「紅白の幕が上がって、二人が縦に並んで登場すること」の2点。花笠の所化さんの踊りも変わったと思うのですが、記憶がアイマイ。。吉之助さんおっしゃるところの「2人が全く違う振付だった」というのは大筋では変わっていないと思います。

波華さんの感想、とても興味深かったので、拙Blogの纏記事からリンクさせていただきましたm(__)m
asari URL 2006年02月12日(日)13:21:24 編集
>asariさん
コメントありがとうございます。
理屈っぽい人間なもので、不思議なものを見せられた分、頭ん中でぐるぐる考えが廻っちゃうみたいで。

月曜にも幕観に行きましたが、オペラグラス無しだったので表情までは伺えなかったんですよね。顔も見られれば、もっと楽しめたかもしれませんね。

2年前の二人道成寺、観てみたかったです。まだ歌舞伎に目覚めていない頃でした。あーもったいない。

TB、リンクありがとうございます。今後のasariさんの感想も楽しみにしています♪
波華@管理人 2006年02月14日(火)23:15:24 編集
大変遅まきながら、TBをうちました。早速幕見をされたんですね!

謡のフーガの部分は、わずか二日間のみだったようで、どうして元へ戻したのか、不明です。良いアイデアだと思うので、残念です。

前回との違いは、当方もボーっとして観ていましたから、記憶が曖昧ですが、asariさまと大体同じです。ただ、幕切れの見得に至るまでの動きが少々違っていたような気が…。
六条亭 URL 2006年02月15日(水)00:04:54 編集
はじめまして。
あなた様のコメントを読んで、納得。あの「妖しい」二人こそ、二人の意味なのかも。二匹の蛇。鏡(菊之助の象徴!)、それもあわせ鏡のような「異次元」に住む、美しい二匹の蛇。歌舞音曲、眼も艶やかな衣装変化、興奮状態になるのは、当たり前ですね。終わった後の、休憩時間、皆さん殺気立ってました。江戸時代だったら、即禁止命令?でも、さすがお父上菊五郎、と長官吉右衛門「人情噺小判一両」で頭を冷やしてくれました。何の問題もなく家路につけたのも、「人情噺小判一両」のおかげでありました。
志野 2006年02月16日(木)17:28:14 編集
>六条亭さま
はい、早速観てきました!
謡の演出、良いやり方だと思ったのになぜ元に戻してしまったのか、私も不思議でたまりません。
さらに、数日前から謡そのものを謡わなくなったと聞きます。
いろいろ試しているんでしょうか?
2年前のこと、教えてくださってありがとうございます。
いろいろ比較検討したくなりますねぇ。

>志野さま
初めまして。コメントありがとうございます。
2人のやり取り、妖しさ満点でしたよねぇ。
2人というのも、一方はもしかしたら清姫ということなのかもしれないですよね。白拍子花子に乗り移るのが清姫なのだから。
二人道成寺の後は、私も放心状態だったと思います…余韻に浸るためにその後の「人情噺小判一両」を観ずに帰ったほうがよいか?と、一瞬罰当たりなことを思ったりもしましたが(笑)
波華@管理人 2006年02月16日(木)18:19:19 編集
>波華さま
はじめまして。風知草のとみといいます。上方に棲息し,細々と観劇記をのブログをやっております。ペットは獅子丸という子猫です。
あ,茂山千三郎丈のアルファスイートカフェは毎週聞いておりますが,地元なのに狂言の鑑賞は生活習慣に組み込んでいません。
麗しい貴宅にお邪魔し,本宅も含め楽しませて頂きました。もしよろしかったら色々勉強させて下さいませ。
玉様怖かったです。一瞬菊之助丈に視線を移し,戻すとご尊顔は恨みで夜叉になっておられましたことが幾度も…。
光と影,実態と幻影,花子と清姫の怨霊,生娘と白拍子,上辺と本心,姉と妹,娘と女,菩薩と羅刹,小面と般若あらゆる対極の対句が全てありましたね。
謡ははじめはユニゾン,半ばがカノン,終盤は無くなったと承りました。深いお考えがあってのことでしょう。凡百としてあれこれ意図を想像するのも楽しみです。
いろいろ勉強させて下さいませ。
とみ URL 2006年03月05日(日)19:07:12 編集
>とみさま
初めまして。京都に住んでいらっしゃるのですね。ばぶさんのラジオを聞けるなんて羨ましいです。
二人道成寺の玉様と菊ちゃんの対比、とてもよかったですよね。表情が良く見えれば、もっと楽しめたと思うと少し残念ですが。
謡は最後は無くなってしまったそうですね。カノンは良かったと思うのですが…。
どうぞ、これからもよろしくお願いしますね。
波華@管理人 2006年03月07日(火)17:59:09 編集

初めましての方はぜひ自己紹介を。
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