第3回 尾上青楓 日本舞踊公演

国立劇場小劇場　4列上手

青楓さん主催の舞踊会。
踊りでメインになるというより、自身で構成・振付した舞踊作品の披露の場でした。
青楓さん、踊りも素敵だけど、創作力もすごいわ。

新作　義太夫「清経」

清経の霊：尾上青楓　　北の方：尾上菊之助　　淡津三郎：尾上菊紫郎

能「清経」を元に作られた新作舞踊。重々しく落ち着いた品のある雰囲気でした。
謡での台詞もあり、青楓さん菊之助さんの美しい声も聴けました。
青楓さんは美々しい若武者姿。もうすでに死んでいて幽霊として出てくるので、すっぽんからの登場。長刀での舞が凛々しく力強くて良かったです。あの端正な佇まいがたまらないね。舞台に出てくると空気が変わる気がする。
菊之助さんの奥さん役。それはもう、立ち姿、腕の延ばし方、指の形、後ろ向きでの背中の形、肩の落とし方、すべての形が美しい！最後、消え去っていく清経のほうに手を伸ばし、悲しげに見送る姿が切なく美しくてうっとりでした。
義太夫の浄瑠璃が咲甫大夫さん、三味線が鶴澤清介さんだった～。わーい！
でも席が上手すぎて、咲甫大夫さんの姿が見切れてた…悲しい～


新作　舞踊劇「梅雨将軍信長」
織田信長：尾上菊之丞　　平手左京亮：尾上青楓
林佐渡守：尾上菊一郎　　丹波長秀：尾上菊紫郎　　柴田勝家：尾上菊市郎　　佐久間信盛：尾上菊史郎

昭和39年に発表された新田次郎の同盟の短編小説を元に作られた新作舞踊劇。
宮廷の天文所に出仕したことのある平手左京亮が、気象を読み織田信長にその運気を進言し、桶狭間で勝利をおさめる。
台詞もあり、照明や盆を使った場面転換もあり、音楽構成も大規模で、かなり凝った芝居仕立ての舞踊作品。
構成がすごい。とってもかっこいい～。合戦の様子を表す群舞の迫力がすごい。
こんなのも作るんだー青楓さん。びっくりした。
何と言っても、全員紋付袴だったのが良かった！衣装なし、化粧もなし。素踊り万歳！もろ好みだわ～
それから青楓さん自身の鼓の生演奏もありました。お得意とは聞いていたけれど、生で観たのは初めて。

織田信長と平手左京亮、2人の対話の場面。
菊之丞さんと青楓さんが背中合わせに立って、同じ振りでの相舞踊。確か盆も回ってたかな？ここの舞踊がとっても良かった。引き締まった雰囲気があって良かったなぁ。

それから、合戦の場面の群舞。尾上流の門下に属するものだと思うけど、舞踊集団菊の会が大活躍でした。織田信長を先頭に10名以上の軍がフォーメーションを変えながら、白扇を武器に激しく動くのがカッコイイ。大太鼓、締太鼓の音楽の迫力も合わさって、とっても興奮する構成でした。動きの激しさ、速さがハンパないよ～。花道での戦いの舞踊も、息を詰めて魅入ってしまうほど激しさで感動。いいわぁ～カッコイイわぁ～

これ、歌舞伎の公演で歌舞伎役者にもやってほしいなー。きっと映えるだろうと思う。


ロビーの来客も華やかでした。
波乃久里子さん、松也くん、亀治郎さん、村尚也さん、織田紘二さん、などなど…。篠井英介さんもいらしたらしいのだけど見逃した…残念！