満月のわらい

満月のわらい
立川 志の輔

昨年一年間、満月の夜に銕仙会能楽研修所にて、立川志の輔さんの落語と茂山家の狂言のコラボレーション公演が行われました。
そのときのトーク内容と写真が収められています。

私はあいにく一度も公演に行った事が無いので貴重な本ですね。しかも、外部の人とのトークならではなのか、普段あまり聞けないような茂山家の面白い裏話も聞けて本当に面白いです！

例えば、狂言「蝸牛」に必要な山伏の兜巾を忘れて、その辺にあったお茶缶の蓋を黒く塗って頭に乗せて演じたとか。
しかもこれをやったのが千作さんだって言うんですからね（笑）面白いですよね～大らかというか大雑把というか。
私も以前、大阪の天空狂言で、葛桶の代わりに何か黒い布で覆われた箱が使われていたのを目撃した事があります。たまたま帰りにお会いした七五三さんに「葛桶どうしたんですか」と聞いたら、笑いながらこっそり「忘れた！」と告白されちゃって大笑いした事があります。東京ならまだしも大阪でも忘れ物なんて…！楽しいなぁ茂山家。

それから、楽屋の和やかな様子。普通は師匠と弟子が一緒にいる楽屋って緊張する空間ですし、ましてや公演前なら集中していなきゃいけないはずなのに、茂山家の楽屋は信じられないくらい和気藹々としてくつろいでいるらしいですよ。
それが、他の人から見れば行儀悪く見える事もあるでしょうが、懲りずに和気藹々。だからこそのあの茂山家の狂言の面白さなんだと思います。

茂山家らしさがよくわかる、お勧めの本です。