――ファンタズマゴリア――
走馬灯のように 次々と移ろいゆく 幻想の中で
プロフィール
管理人:波華
観劇好き。主に狂言、歌舞伎、日本舞踊、大衆演劇、落語などをよく観ます。大蔵流茂山千五郎家、尾上菊之助さん、中村勘九郎さん、尾上菊之丞さん、橘菊太郎劇団、劇団花吹雪、などがお気に入り。
現代演劇で最大のお気に入りは花組芝居。その他、大中小気になった劇団を観に行きます。
日本舞踊のお稽古をしています。
たまに着物や歌やゲーム(DQ,FF)の話題も。
連絡先 e_yassie@yahoo.co.jp
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柿食う客「恋人としては無理」横浜公演 3/6
2009年03月11日(水) 20:55:02
タイトルからは全く想像もつかなかった、旧約聖書のお話でした。こりゃ驚き。
イエスとその弟子たちがエルサレムにやってきて、十字架に架けられて、復活するまでの話を、「あいのり」風にアレンジ。えっと、劇中でこの単語が出てきたので。と言ってもこれに集約されるわけではないのだけど。
シンプルな舞台。セットもなく、BGMもなく、照明も最低限。衣装も黒、ピンクで統一された小道具。
上演時間は、1時間5分。短いんだけど、やーこれが満足満足。2時間分くらいのボリュームはあった。
最初はねー。演出が地味だし、台詞も早くて聞きにくいし、今までの柿と全然違うなーと思ってイマイチな印象でした、正直。
それが、後半はぐっと気持ちを持っていかれた。
出演者も5人と少なくて、これは少数精鋭?なんだか柿食う客の実力を見せつけられた気がする。
堀越涼くんがいるから私は観に来たんだけど(汗)、そんなの関係なく、柿食う客そのものがスゴイと思ったよ。うん。
配役は役者に固定ではなく、小道具に固定。
例えば、ペトロは「上着を着た人物」ヤコブは「扇子を持った人物」ユダは「イヤホンを持った人物」など。
一人の役者が次々と小道具を持ちかえて違う役になることもあれば、
一つの小道具を次々と違う役者が持ちかえて同一人物を演じることもある。
しかも、ユダやペトロやヨハネが女性だったり、男女混合の弟子グループ。なるほど、あいのりか…。
いえすくんが十字架にかけられるまでの過程も、作り方が面白かったなぁ。
救世主が町にやってきたと聞いて、群衆はいえすくんを探しまわる。群衆は個性を持たない集合体で、うねうねと動き続け、誰かが右に動けばみんなで右になびくような、意志のない不可解な存在。この群衆が、探しても探しても見つからない救世主に業を煮やし、ある瞬間に「救世主を殺せ!」となってしまう。たぶん、ここだけ、赤色の照明を使ってたよね。唯一色つきの照明。
怖いな、群衆。
映画「パッション」でも描かれているけれど、イエスの処刑を決めた役人のポンツィオ・ピラトは、なんとかイエスの処刑を避けるために一計を案じる。群衆に「何人もの人間を殺した罪人の処刑を取りやめて釈放するか、イエスを釈放するか、どちらを選ぶ」と問いかけるが、群衆は「イエスを殺せ」の一点張りで収拾がつかない。なのでやむなくイエスの処刑を決定したと。
ポンツィオ・ピラトが自ら進んで処刑を決めたわけではなく、本人なりの苦悩があったということがよく現われていたんだよね。これは興味深い演出だったなぁ。
ゆだがいえすを裏切る理由も、興味深い。
いえすはみんなを平等に愛するから、ゆだの不平等な愛を受け取れなかった。そうゆだは嘆く。
面白い台詞だわ。これが一番印象に残った台詞。
つまり、自分だけを愛してくれないなら、いっそ殺してしまおうと。
なーにー!?なんて俗っぽい理由、でもなんだか新鮮。
この場面でゆだを演じていたのは堀越涼くん。ラップ調で明るくしゃべってるけど、ぐさぐさと心に刺さる。
よはねっちのコロさんが、ものすごく美しく綺麗で目を見張りました。わーこんなに綺麗な人だったのかぁ。でも、台詞が聴覚障害者あるいは知的障害のような、吃りのある喋り方。笑いも起きていたけれど、私には衝撃的で悲しくてしかたなかった。なんでこんな演出にしたんだろ?妹よはねっちを優しくいたわる兄の愛情もしみじみ感じました。
エルサレム入りしたあと、いえすくんはよはねっちと2人でシダックスに行ってたらしいんだけど(変な設定だな…)、平等に人を愛するいえすくんがなぜよはねっちを贔屓するようなことをしたのか。普通の人よりも少し不幸に生まれたよはねっちが、人並みに幸せになれるように、あえて不平等な愛を与えたのか?深読みしすぎかなぁ…。
あと、上着を着ているペトロは、いろんな人が立ち替わり演じたけれど、コロさんが演じた時が一番良かった。台詞の一言一言が染みて、すんごい切ないんだわぁこれが。いえすくんのことがまだ好きなのに(元カノ?)、弟子たちのリーダーとして私情を殺して無感情でいなきゃいけない、その辛さがじんじん伝わってきて。泣けます。
そんなペトロを、ヤコブが気遣っていろいろと言うんだけど。
ペトロのコロさんが、ヤコブの涼くんに、ぼそっと「私、あんたと付き合えばよかったよ」っていうんだよねー。
おおーちょっとこれ、ちゅーとかしちゃう?ドキドキのラブシーンですか?
とか思ったら~。中屋敷さんが突然乱入。思いっきり邪魔してるし!それから、黒い下着姿の七味まゆ味さん登場。うわぁぁあ~っ。マジで下着だ、ブラとパンティのみ着用だ。すご、体張ってるわー。
後から気付いたけど、いつもの黒Tバックで暴れまわるあのひとの替わりってことかぁ。だよねぇ。
ここから、いつもの、アドリブシーン。マジ笑いを堪えている涼くんがカワユイvまゆ味さんのブラのホックがはずれちゃって(ハプニング?わざと?)そのホックを涼くんに付けてーってやって、涼くんすごく戸惑ってるの図。ぷっ可笑しすぎる!
笑ったなー。ここはホントに楽しかった。
すごく深い物語を味わわせてもらった。
芝居のつくりの巧さも味わった。
発想のもとは「あいのり」とか大学のサークルらしいんだけどー。
初演したフランスでは「日本人はクレイジーだ」と言われたそうな。
外からいろんなものを取り入れて自分たちのものにする、そういう日本人的特性も意識したんだとか。それが今回の小道具の使い方につながっていると。
んーやっぱキリスト教圏の人たちには、「いえすくん」なんて役を作って演劇すること自体、ありえないと思うものなのかな。わかんないけど。
中屋敷さんの発想と思考回路は面白いな。
ちょっとね、漫画の「聖おにいさん」を思い出した。こういう漫画も、キリスト教圏の人たちにとっては罰当たり極まりないんだろうなーと思う。
イエスとその弟子たちがエルサレムにやってきて、十字架に架けられて、復活するまでの話を、「あいのり」風にアレンジ。えっと、劇中でこの単語が出てきたので。と言ってもこれに集約されるわけではないのだけど。
シンプルな舞台。セットもなく、BGMもなく、照明も最低限。衣装も黒、ピンクで統一された小道具。
上演時間は、1時間5分。短いんだけど、やーこれが満足満足。2時間分くらいのボリュームはあった。
最初はねー。演出が地味だし、台詞も早くて聞きにくいし、今までの柿と全然違うなーと思ってイマイチな印象でした、正直。
それが、後半はぐっと気持ちを持っていかれた。
出演者も5人と少なくて、これは少数精鋭?なんだか柿食う客の実力を見せつけられた気がする。
堀越涼くんがいるから私は観に来たんだけど(汗)、そんなの関係なく、柿食う客そのものがスゴイと思ったよ。うん。
配役は役者に固定ではなく、小道具に固定。
例えば、ペトロは「上着を着た人物」ヤコブは「扇子を持った人物」ユダは「イヤホンを持った人物」など。
一人の役者が次々と小道具を持ちかえて違う役になることもあれば、
一つの小道具を次々と違う役者が持ちかえて同一人物を演じることもある。
しかも、ユダやペトロやヨハネが女性だったり、男女混合の弟子グループ。なるほど、あいのりか…。
いえすくんが十字架にかけられるまでの過程も、作り方が面白かったなぁ。
救世主が町にやってきたと聞いて、群衆はいえすくんを探しまわる。群衆は個性を持たない集合体で、うねうねと動き続け、誰かが右に動けばみんなで右になびくような、意志のない不可解な存在。この群衆が、探しても探しても見つからない救世主に業を煮やし、ある瞬間に「救世主を殺せ!」となってしまう。たぶん、ここだけ、赤色の照明を使ってたよね。唯一色つきの照明。
怖いな、群衆。
映画「パッション」でも描かれているけれど、イエスの処刑を決めた役人のポンツィオ・ピラトは、なんとかイエスの処刑を避けるために一計を案じる。群衆に「何人もの人間を殺した罪人の処刑を取りやめて釈放するか、イエスを釈放するか、どちらを選ぶ」と問いかけるが、群衆は「イエスを殺せ」の一点張りで収拾がつかない。なのでやむなくイエスの処刑を決定したと。
ポンツィオ・ピラトが自ら進んで処刑を決めたわけではなく、本人なりの苦悩があったということがよく現われていたんだよね。これは興味深い演出だったなぁ。
ゆだがいえすを裏切る理由も、興味深い。
いえすはみんなを平等に愛するから、ゆだの不平等な愛を受け取れなかった。そうゆだは嘆く。
面白い台詞だわ。これが一番印象に残った台詞。
つまり、自分だけを愛してくれないなら、いっそ殺してしまおうと。
なーにー!?なんて俗っぽい理由、でもなんだか新鮮。
この場面でゆだを演じていたのは堀越涼くん。ラップ調で明るくしゃべってるけど、ぐさぐさと心に刺さる。
よはねっちのコロさんが、ものすごく美しく綺麗で目を見張りました。わーこんなに綺麗な人だったのかぁ。でも、台詞が聴覚障害者あるいは知的障害のような、吃りのある喋り方。笑いも起きていたけれど、私には衝撃的で悲しくてしかたなかった。なんでこんな演出にしたんだろ?妹よはねっちを優しくいたわる兄の愛情もしみじみ感じました。
エルサレム入りしたあと、いえすくんはよはねっちと2人でシダックスに行ってたらしいんだけど(変な設定だな…)、平等に人を愛するいえすくんがなぜよはねっちを贔屓するようなことをしたのか。普通の人よりも少し不幸に生まれたよはねっちが、人並みに幸せになれるように、あえて不平等な愛を与えたのか?深読みしすぎかなぁ…。
あと、上着を着ているペトロは、いろんな人が立ち替わり演じたけれど、コロさんが演じた時が一番良かった。台詞の一言一言が染みて、すんごい切ないんだわぁこれが。いえすくんのことがまだ好きなのに(元カノ?)、弟子たちのリーダーとして私情を殺して無感情でいなきゃいけない、その辛さがじんじん伝わってきて。泣けます。
そんなペトロを、ヤコブが気遣っていろいろと言うんだけど。
ペトロのコロさんが、ヤコブの涼くんに、ぼそっと「私、あんたと付き合えばよかったよ」っていうんだよねー。
おおーちょっとこれ、ちゅーとかしちゃう?ドキドキのラブシーンですか?
とか思ったら~。中屋敷さんが突然乱入。思いっきり邪魔してるし!それから、黒い下着姿の七味まゆ味さん登場。うわぁぁあ~っ。マジで下着だ、ブラとパンティのみ着用だ。すご、体張ってるわー。
後から気付いたけど、いつもの黒Tバックで暴れまわるあのひとの替わりってことかぁ。だよねぇ。
ここから、いつもの、アドリブシーン。マジ笑いを堪えている涼くんがカワユイvまゆ味さんのブラのホックがはずれちゃって(ハプニング?わざと?)そのホックを涼くんに付けてーってやって、涼くんすごく戸惑ってるの図。ぷっ可笑しすぎる!
笑ったなー。ここはホントに楽しかった。
すごく深い物語を味わわせてもらった。
芝居のつくりの巧さも味わった。
発想のもとは「あいのり」とか大学のサークルらしいんだけどー。
初演したフランスでは「日本人はクレイジーだ」と言われたそうな。
外からいろんなものを取り入れて自分たちのものにする、そういう日本人的特性も意識したんだとか。それが今回の小道具の使い方につながっていると。
んーやっぱキリスト教圏の人たちには、「いえすくん」なんて役を作って演劇すること自体、ありえないと思うものなのかな。わかんないけど。
中屋敷さんの発想と思考回路は面白いな。
ちょっとね、漫画の「聖おにいさん」を思い出した。こういう漫画も、キリスト教圏の人たちにとっては罰当たり極まりないんだろうなーと思う。
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