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――ファンタズマゴリア――     走馬灯のように 次々と移ろいゆく 幻想の中で
プロフィール
管理人:波華
観劇好き。主に狂言、歌舞伎、日本舞踊、大衆演劇、落語などをよく観ます。大蔵流茂山千五郎家、尾上菊之助さん、中村勘九郎さん、尾上菊之丞さん、橘菊太郎劇団、劇団花吹雪、などがお気に入り。
現代演劇で最大のお気に入りは花組芝居。その他、大中小気になった劇団を観に行きます。
日本舞踊のお稽古をしています。
たまに着物や歌やゲーム(DQ,FF)の話題も。
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十月花形歌舞伎「染模様恩愛御書」
2006年10月10日(火) 21:35:16
十月花形歌舞伎 通し狂言
「染模様恩愛御書(そめもようちゅうぎのごしゅいん)」
細川の男敵討

大阪松竹座

コンクールが終わったので、突発的に逃避行。日帰りでしたがよい気分転換になりました。
東京以外で歌舞伎を観るの、初めて~!以前、外観だけは見たことのある大阪松竹座での歌舞伎鑑賞でした。
大阪松竹座って、舞台が思ったより小さかったです。新橋演舞場よりもずっと。都内の歌舞伎公演で使う大ホールよりも小さい。意外だなぁ。大阪唯一の歌舞伎劇場なのに。
年に3,4ヶ月ほどしか歌舞伎興行が無いというのも、歌舞伎座に馴染みの深い者としてはかなり意外なこと。上方で歌舞伎はそれほどマイナーなの?それとも文楽のほうがよっぽど賑わっているんでしょうか?よく分かりません…。

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ところで、筋書のこと、大阪では「番附(ばんづけ)」って言うんですか?まるで大相撲みたいですね。関西独特の言い方なのでしょうか。京都や他の地域ではどう言うのか、興味あります。

あらすじは…
大川友右衛門(染五郎)は、浅草観音参詣の折、美しい若衆姿の印南数馬(愛之助)を見染めます。数馬が細川家の小姓と知った友右衛門は武士の位を捨て、細川邸に中間として奉公するようになります。ある日、友右衛門は数馬の寝室に忍び、二人は衆道の契りを結びます。数馬から横山図書(猿弥)という父の敵があることを打ち明けられた友右衛門は、数馬と互いの腕の血をすすり合い兄弟の義を結び、敵討ちの助力を約束します。ところがこの様子を、かねてから数馬に心を寄せる腰元のあざみ(春猿)が見つけ、細川候(段治郎)の知るところとなります。お咎めを蒙ると思いのほか、友右衛門の数馬への思いと、数馬の孝心の篤さに感銘を受けた細川候に、逆に士分に取り立てられた友右衛門は、いずれこの御恩に報いようと決心します。
ある日、細川邸に起こった火事はまたたく間に燃え広がり、このままでは細川家の宝である、将軍より拝領した御朱印が灰燼に帰すのも時間の問題となります。ここに馳せ参じた友右衛門は、御恩に報いるのはこの時をおいてないと火中に飛び込み、ついには自らの腹をかき切り、御朱印をその中に入れて・・・


元は『蔦模様血染御書(つたもようちぞめのごしゅいん)』という名で明治22年に初演されたそうですが、衆道を扱っていることや本物の火を使った演出が問題となり上演が途絶えていました。
それを、染五郎さんと愛之助さんの2人が中心となり復活させました。題も「染」と「愛」を入れて「染模様恩愛御書」と変えたのが良いですね。

セットは、2階建ての木組みに階段がいくつか付いていて、それを盆でまわして場面転換するという仕組み。階段が効果的に使われていました。研辰のセットと似てます。発想はとても現代的だと思います。

幕開き最初は、講談師の解説から。なかなか面白い演出。全く違和感無く、しっくり合っていて逆に驚きましたねぇ。
冒頭意外にも、物語のところどころで講談師の語りが入ってきたのが面白かったです。旭堂南左衛門さんという人で、大阪の講談師の流派のようです。
マイクの音量が足りなくて聞き取りにくいところもあったのが惜しかった…もっとちゃんと聞きたかったなぁ。

囃子は傳左衛門社中だったよー!やっぱり。声はもちろんのこと、もう雰囲気でわかります。嬉しいです。

小姓数馬の役の愛之助さん、振袖に袴に前髪が可愛らしい~!少年らしく、清々しく爽やかで、上品な立ち居振る舞いが良いです。
そういえば愛之助さんの女形って見たこと無いです。近いイメージなのでしょうか。
ところで小姓の立場で男に愛される役って、どういう気持ちで演じるんだろう?
愛之助さんはどう考えているんだろうなぁ。女形で男とラブシーンするのと、男役のままで男とラブシーンするのって心持ちがあんまり変わらないような気もしたのです。どうなんだろう。

染五郎さんは、見目良く凛々しいお侍。だけど割とくだけた印象ですね。最初から数馬にメロメロだったからでしょうか。堂々とした様子、というよりは、人懐こかったりがむしゃらだったり、人間くさい印象で良かったです。染五郎さんは、そういう人間くさい役のほうが似合ってるなぁ、と最近強く思います。映画やドラマでよく目にするせいでもあるんだろうな。

観る前は数馬はもっと弱い立場で、友右衛門のほうがかなり強引なのかと思っていたのですが、違っていたんですね。
友右衛門の方が、惚れた弱みからか、なりふり構わぬ不器用な様子で、数馬のほうがずっと上品で落ち着いています。
そんな落ち着いた様子の数馬が、意を決して文の返事を渡し、思いを打ち明ける様子が可愛らしかったなぁ。
粗筋だけ読んで、無理やり夜這い掛けられたのかと思ってしまっていたのですが、ちゃんと相思相愛で契りを結んだのね。良かった。

だけど、部屋に忍んだあとのシルエットシーンは…ガッカリ。こんな演出を客が望んでいると、本気で思ったのでしょうか?
嫌な予感がしたんだけど、これだけは止めて欲しかった!こんな笑いを誘うような演出では、真剣さが嘘になってしまう。あまりに稚拙は演出方法で逆に恥ずかしかったですよ。
もっと違う見せ方があったんじゃないの?歌舞伎が今まで培ってきた手法を使えなかったの?なんか馬鹿馬鹿しくてやってられない。まるで悪夢だ…うう。

ところで。
全く出演することを知らなかった、芝のぶちゃんの出番がたっぷりあったのがかなり嬉しかったです!一幕では横山図書の妻で、間男の疑いを掛けられて殺されてしまう。二幕では友右衛門の妹で、知らずに横山図書の妻になる。
忠孝に篤い、誇り高い武家の娘らしい様子が健気でかわゆかったよぉ~。

あざみ役の春猿さんは、嫉妬に狂って愛する数馬の不義を殿様に訴えてしまいます。女ってコワーと思う。そんな女心を見事に演じる春猿さん、上手すぎ。表情や仕草の一つ一つが女の私には恐ろしいほど納得の行くものばかりで、なんでそんなに上手に女心を掴んでいるのかと不思議でたまりません。びっくりだよ春猿さん。
すました様子がますます怖い。つんとした様子も怖い。悪者に手を貸すのも怖い。それもすべて数馬を愛しているからこそとなると、さらに怖い。
ただどうしても、見た目で年齢が相当上な印象を与えてしまうのが惜しい。だって数馬と近い年齢じゃないの?もう少し若い印象があればなぁ。

2幕目冒頭のチャリ場がかなり面白かったです。
ちょうどこの日、松竹座のすぐそばで行われていた御堂筋パレードのネタを皮切りに、染五郎さんのかぶき体操を総踊り。地方の生演奏でかぶき体操だよ!これは嬉しい。
その他、ハンカチ王子に、小梅大夫まで。あははー
かなり、取って付けたような場面でしたが、これはこれで面白いので良しとしましょう。

あんまり話の筋を事前に理解していなかったのですが、数馬と友右衛門はせっかく殿様にも仲を認められたのに、最後には友右衛門が死んでしまうのですね。切ないです。
大火事の場面は、天井の装置から煙と火の粉。凄かった。アイドルコンサートみたい。
でも舞台後方のスクリーンに映ったCGはイケてません。しかも2階は置いてけぼり。というか、迫力ある演出作りのため無理やり感があるような。1階に居たら印象が違ったでしょうか。チケット代をケチったことを後悔。
友右衛門が自らの腹を切って御朱印を守るという緊迫した場面で、肝臓と腎臓と大腸を取り出して、かんじんちょー!ってwww何そのギャグ!
これ無いといけないの?最後の見せ場なのに。泣けるシーンなはずなのに。
これは必要無いよなぁ。


カーテンコールはあらかじめ用意されていたようです。
でも芝のぶちゃんがいないー!春猿さんは居るのにー!
春猿さんと芝のぶちゃんの格の違いって何なんでしょう?同じく養成所出身という訳ではないの?


ところで、この「染模様恩愛御書」が小説化されたらしいです。
紅蓮のくちづけ―染模様恩愛御書
うぇええ~
ポスターを見て即、嫌悪感。
行った日に、ちょうど出演者による握手会が開催されたんですけどねー。
どうなんだろうこれは。お客さんが続々買っていたけど、あのイラストを見せられると、只の月並みなBL小説だよ、そんなのに成り下がってしまって本当にいいの!?って思ってしまう。せっかく発売されたのにケチつけて申し訳ないけど、私は特に読みたくはないです。
こういう展開は止めて欲しかったな…。

それから。
衆道を取り扱った芝居は他には作られなかったのでしょうか?今回の芝居が明治に初演されたとの事ですが、江戸以前に作られなかったとはとても思えません。上演禁止になって記録が全く残されていないというのなら解りますが…
どうなんでしょう。気になります。
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コメント
こんにちわ~。
歌舞伎の大阪遠征されたんですね!
私も先日みましたが、なかなか突っ込みどころが多くて
楽しめるお芝居でしたネ。良くも悪くも。

私は火の子のかかる一階席でみていたので、逆に
2、3階でみたら火事場は舞台、劇場が燃えるように
みえるのかな?と思っていたのですが。。どこが
ベスポジなんだろう。
もう一度遠征を考えていたんですが、考え中です。
マーブル URL 2006年10月11日(水)01:10:06 編集
マーブルさん、こんにちは!お久しぶりですぅ~
大阪遠征、しちゃいました。やっぱり染愛のお芝居を見たくて。
ツッコミどころ、多いですよね。新しい試みをすると少なからずそういう所って出てきますよね。でも面白いお芝居でよかったです。

私は2階席の上手奥だったので、余計に置いていかれた気分だったんですよね。これがセンターだったらまた違ったかもしれませんが、どうせなら煙や火の粉を浴びたかったなーと思ったわけです(^^)
一階席なら、花道のかぶき体操も良く見えるし、客席に降りてくる染愛も楽しめたのですよね?うーん羨ましい!

次にご覧になるときは、2階センター前方が良いと思いますよ!席があるかどうかは分かりませんが…
楽しんでいらしてください。
波華@管理人 2006年10月13日(金)00:15:49 編集
>波華さま
ご無沙汰しています。風知草のとみでございます。
はじめての東京以外のご観劇!高い美意識と研ぎ澄まされた審美眼,見巧者の貴方さまのインセンティブとなるプロモーションは何であったか気になるところです。
1000席規模の大阪松竹座で年3,4ヶ月,1200席規模の南座で年2ヶ月,国立文楽劇場1000席で年4ヶ月の文楽。その他鑑賞教室と巡業が歌舞伎と文楽の事情。南座顔見世と襲名披露以外はなかなか満席になりません。
関西に理解があり毎年来て下さる染五郎丈と上方歌舞伎の面々,賛同していただけた花形さんで創り上げた,大阪の秋,松竹座という小屋で誕生した作品でした。評判が評判を呼び,大盛況のうちに本日千秋楽です。
実験的な取り組みが成功する瞬間の感動はいいです。
とみ URL 2006年10月26日(木)12:43:12 編集
>とみさま
こんばんは、ご無沙汰しております!
若い役者による新しい取り組み、画期的な演出もあって楽しめました。実験的な面もあっただろうと思いますから、賛否両論あって当然だと思います。とにかく思いついたことを多く取り入れていたようで良い姿勢だったと思います。
偉そうに言ってしまいましたが…。染五郎さん愛之助さんの活躍には今後も期待しています!
波華@管理人 2006年10月31日(火)18:10:24 編集

初めましての方はぜひ自己紹介を。
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