きちさ 剣戟はる駒座＆Afro13

えーと。当日になって突発的に観に行ってしまいました。
前から気にはなっていたんだよね、剣戟はる駒座。副座長の鶫汀(らいちょう)くんと弟の祀武憙(しぶき)くんがむちゃくちゃお芝居上手と聞いていたので。
今回は通常の大衆演劇公演とは違う、特別公演。
観に行きたいなと思って、一旦は諦めて、でも共演するAfro13という劇団が自分好みのファンタジー時代劇(?)をやるところみたいだったので、やっぱ観に行こう！と。

これ、観に行ってホント良かった～！！！
お芝居ものすごく良かった！！！

「きちさ」は三人吉三が出てくるお話。脚本は岡本さとるさんで、テレビや舞台の脚本を多く手がけている有名な方らしい。「座・時代劇」というちょっと変わった時代劇を定期的に作っているそうで、その第1作が「きちさ」だそうです。
さすが、話の筋がとてもしっかりしているし、笑いどころもたくさんあるし、立ち回りもカッコイイし、音楽も既存の歌謡曲や洋楽などを使っていてとても親しみやすい。

会場は、築地本願寺敷地内のブディストホール。160席ほどの小さな劇場。こんなところにこんなコンパクトな劇場があったんだぁ。知らなかった。なかなかいい雰囲気ではないですか♪

あと、お芝居でマイクを使っていないのも好感度高かったです。通常公演はどうなんだろう？
他の大衆演劇の劇団も、小さな劇場だったらマイク使わずにやればいいのにね。

第1部　「きちさ」
和尚吉三　津川竜
お坊吉三　丸山厚人
お嬢吉三　津川鶫汀
お千　津川祀武憙
天草　晃大洋

お坊吉三は唐組の丸山厚人さん。声もイイし台詞もキチンとしているし顔もイイ。でも着物を着た時の立ち姿がちょっと微妙～これはさすがに大衆演劇役者には叶わないのか。そこだけが勿体無かった！
お嬢吉三は津川鶫汀くん。ちっこくて可愛い！15歳と聞いているけれど、12，3歳くらいの印象。ピンクの着物を丈を短く着て、その下は黒レース地のレギンス。いい衣装だ。ゴスロリ的だ。可愛すぎ。んで、台詞むちゃくちゃイイ感じ。声はまだ安定していないんだけれど、早台詞もしっかり言えているし、何より演技そのものがすごく自由が効いていると思う。驚異的だ。これは確かに芝居上手だわ～。
和尚吉三は津川竜さん。はる駒座の座長さん。華奢な体格だけど、さすがの安定感。物語のキーパーソンとして、しっかりと支えていました。

三人の吉三と、敵方との立ち廻り。
ここがものすごーーーーーく良かった！大興奮！
曲はどこかで聞いたことのある洋楽。速さはないけれど、型をきっちり合わせて、しかも曲のリズムにぴったり合わせて動いていたのがすごく気持ち良かった。ダンスっぽかったよ！こういう立ち回りって今まで見たことないな。
んで、鶫汀くんって止まった時の見得の型がすんごい綺麗に決まるんだわ。は～チョーカッコイイ！動いている時よりも、止まった時がいいです。角度なんかがすべて完璧！と思うくらい。めちゃくちゃテンション上がったなぁ。もうここだけでも見に来て良かったと思った！！
後半の立ち回りでは、Bzの曲を使っていたり、全員が正面を向いての立ち回りがあったり、スローモーションの立ち回りがあったり。いろんな工夫があって、どれも見ごたえがありました。もぉ最高！！！


高山右近の血を引くキリシタンの娘、お千は津川祀武憙くん。
最初、男の子なのか女の子なのか分からないくらいだったんだよね…。顔も体も丸っこい感じで、黒い着物のお姫様の恰好がとても似合う。声変わり前で安定していないしちょっとたどたどしさもあったんだけど、役のなりきりぶりは見事。芝居うまいなぁ。
このお千、ちょっと変わっているけれど普通の可愛いお嬢様かと思ったら、最後の展開にびっくり。狂気を抱えた人物だったんだね。
よくよく振り返ると、和尚とお坊の2人はお千を「可愛いお嬢様」と言っていたのに、お嬢だけはお千を「狂っている」と言っていたんだった。お友達になりたいというお千を鬱陶しく思って邪険にそう言っていただけかと思ったら、実はお嬢だけがお千の本当の性格を見抜いていた、ということなのでしょうか。

天草四郎の生まれ変わりの晃大洋さん。
この人も、年齢と性別が不詳の不思議な人だった…。まだ子供のようにも見えるし、男の人のようにも見える。実際には鶫汀くんと祀武憙くんのお母様だそうです。へぇーっ。すごいキャラクターの人だなぁ。
かなりコミカルな役柄で、その3枚目っぷりがすごく楽しかった。これも芝居のうまさだよなぁ。さすが、この親にしてこの子あり。
登場では「転がる石」を歌ってました。ちょっとびっくり。すごく上手かったです～。
芝居の幕切れでも「転がる石」が使われていました。三人吉三のお話が、大人になる前に死んでいった若者の話だそうなので、それに合わせて「転がる石」なのかな～と。15は胸を患って…だもんね。


Afro13のメンバーは、あまり出番はなかったけれど、体がよく動くようでアクロバティックな立ち回りも見せてくれて良かったです。
今度、単独公演を見に行ってみようかな。

いやーいい芝居でした。楽しかった。
脚本もしっかりしてたし。
これまたいつかもう一度見たいなぁ。


第2部　舞踊ショー
名前間違ってるかも…
・津川隼さん　「お梶」
・津川鶫汀くん、祀武憙くん　「夢の浮橋」
・津川竜さん　「？」村治さんの曲

メインは3曲、その間に座員の群舞が挿入され、トータル30分の舞踊ショー。

隼さんや竜さんて、もしかして花吹雪の真ちゃんと顔立ちが少し似ているかも…
お梶の踊りがすごく良くて、いずれ真ちゃんもこんなふうにお梶を踊る時が来るのかな～なんて、そっちの妄想で盛り上がってしまった（＾＾；


津川鶫汀くん、祀武憙くん　「夢の浮橋」これもしっとりと踊っていて綺麗でしたねー。
んで、芝居のときと同じこと思ったけれど、歩いたり動いたりしているところはそうでもないのに、止まって形を決めるところがすごく決まると思う。こういうタイプの役者もいるんだねぇ。
本人も願っているみたいだけど、背がもっと伸びると体の使い甲斐もあるだろうねぇ。私も祈ってあげようっと。


あー楽しかった。
この劇団、舞踊より芝居に力入れてるんだろうな、確実に。
新たな興味が増えてしまったよ…弱った。
はる駒座の公演は、12月奈良、1月大阪だそう。いつか関東に来たら観に行ってみよう。